Raindrop
なんだか夏に水琴さんをここへ運んできたときと逆の立場だ。

あのときの水琴さんも相当に酔っていて、記憶も飛んでしまっていたけれど。

あのときの水琴さんのように、僕も何かやらかしてないといいのだが。



そんな心配をしていると、水琴さんが水を持ってきてくれた。

「ありがとうございます」

水の入ったグラスを受け取ろうと手を伸ばして、水琴さんの手に軽く触れた。

途端に、ぴくりと水琴さんの肩が撥ねたような気がして……顔を上げる。

「あ、ううん」

軽く首を振り、グラスを押し付けるように渡された。

「……あの、僕、倒れたときの記憶がないんですけれど、何も粗相はしませんでしたか」

一瞬、沈黙があった。

「ううん、大丈夫よ」

にこり、と優しく微笑む水琴さん。

……本当だろうか。

更に不安になりながら水を飲み干し、グラスをキッチンへ持っていこうと立ち上がった。

「あ、和音くん、私が持っていくからまだ座ってて……」

と、水琴さんが手を伸ばそうとしたところに、布団に足を取られた僕がよろけていった。

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