Raindrop

「響……」

「分かんねぇなら分かるまで何度だって言ってやるよ。頭ん中から溢れだすくらい言ってやるよ。お前のせいじゃねぇ。ぜってーお前のせいなんかじゃねぇ。お前がこんなんなってたら、センセー空で泣いてっぞ」

……痛い。

頬が、痛い。

柄の悪い男性たちに殴られたところよりも、ずっとずっと痛い。

「うん……そう、だね。ありがとう、響也」

心配をかけまいとすることが、逆に心配をかけてしまっていたのかと、申し訳なくなる。

そして、泣きながら怒ってくれる彼に感謝した。


腫れて熱を持った頬を濡らす冷たい雨は心地よかったけれど、僕は俯いた。

雨とは違う雫が、それと一緒になって地面に落ちていく。


「まったく……怪我人を叩くだなんて」

溜息をつきながら、マスターが響也の頭をポン、と叩く。

それから僕には優しい笑みを向けてくれた。

「大丈夫だよ。傷は必ず癒えるものだからね」