Raindrop

付添い人としてマスターが一緒に病院まで来てくれて、後からやってきた家族たちに状況を説明してくれた。

その間に医師による診察が行われたのだけれども。

……やはり、神経が完全に切れている状態だった。

手術が必要だと言われたときには、母や花音は泣き崩れてしまった。

「ごめんなさい和音、母さんのせいよ、母さんが、貴方を傷つけてしまったのよっ……」

まったく非のない母にそう言われて抱きつかれて。

ああ、僕もこの状態だったのだな、と。ぼんやりと思った。

こうなったのは母さんのせいなんかじゃない。僕は母さんを責める気などない。そんな風に泣いて欲しくなんかない。


……水琴さんも。

空の上で、そう、思ってくれているのだろうか……。


< 315 / 353 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop