Raindrop
門を潜ってすぐに、大蛇を巻きつけた女子生徒が目の前を横切った。

驚いているうちに、校舎の3階あたりで爆発が起こり、窓が派手に吹き飛んだ。

校舎に入るとタバコを咥えている生徒が目の前を通り過ぎ、それを赤いチャイナドレスの美しい女性が高速で追いかけていき、「教育的指導おぉおおぉおおっ!」と叫びながら蹴りを入れていた。

よく見れば体の透けている人や、明らかに人間ではない人(?)が多数いる。


『カオスな音が聞こえるんだ』

嬉しそうにそう語っていた父の言葉が頭を過ぎり、成る程、と納得した。

「退屈しなさそうだ」


人と人外が混在する学び舎。

毎日刺激的な“音”で溢れている魅力ある世界を、僕はすぐに好きになった。


そのうち、“普通”である自分に物足りなさを感じる。

この学園では普通の人間であっても、何か素晴らしい個性を持っている。

──僕の個性とは、一体何だろう?

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