Raindrop
最初は手のリハビリも兼ねた練習だった。
ケースからレディ・ブラントを取り出し、中学の頃のように屋上で音を奏でる。
……とは言っても、まだまだ僕の手は思うように動かなくて、弦を軽く押さえ、ただ音を出しているだけの状態だった。
たまたま聞いていた生徒に、
「へったくそー」
と、笑われた。
確かに下手だった。
ちょっとだけ傷ついた。
でも『下手だ』と笑ってもらえたことで、何かが吹っ切れた気がした。
次の日は音楽室で弾いてみた。
そこで出会ったポニーテールのやけに幼い先生に、
「おや、どこかで見た顔だと思ったら、貴方は橘くんの息子さんですか。ええ、存じておりますよ、私が面倒をみましたからね」
……と言われた。
はて、と首を傾げる。
僕よりも年下に見えるこの先生に、父が習ったというのだろうか?
不思議に思いながら先生を見下ろすと、ふふ、と笑われた。
「貴方もこの学園で自分の道を見つけられるといいですね」
ケースからレディ・ブラントを取り出し、中学の頃のように屋上で音を奏でる。
……とは言っても、まだまだ僕の手は思うように動かなくて、弦を軽く押さえ、ただ音を出しているだけの状態だった。
たまたま聞いていた生徒に、
「へったくそー」
と、笑われた。
確かに下手だった。
ちょっとだけ傷ついた。
でも『下手だ』と笑ってもらえたことで、何かが吹っ切れた気がした。
次の日は音楽室で弾いてみた。
そこで出会ったポニーテールのやけに幼い先生に、
「おや、どこかで見た顔だと思ったら、貴方は橘くんの息子さんですか。ええ、存じておりますよ、私が面倒をみましたからね」
……と言われた。
はて、と首を傾げる。
僕よりも年下に見えるこの先生に、父が習ったというのだろうか?
不思議に思いながら先生を見下ろすと、ふふ、と笑われた。
「貴方もこの学園で自分の道を見つけられるといいですね」