Raindrop
「今日という日に、意味が?」

「それ、は……」

「僕にはあります。今日でなければならなかった理由が。貴女もそれと同じ理由であることを願います」

水琴さんの目に涙が膨れ上がる。

そうして何度も頷いた。

「ええ……だって、今日は……貴方と初めて出会った日、ですもの……」

4年前の今日、水琴さんが始めて家を訪問した日。

ドアの向こうで、儚げながらも凛とした立ち姿で僕を迎えてくれた、あのふわりとした笑みが蘇る。


始まりの日を終わりにしよう。

終わりの日を始まりにしよう。


考えていたことは同じだった。

そんな僕たちがもう一度出会うのは必然だった。


「水琴さん。また……『はじめまして』から、始めてもいいですか」

そう言って柔らかな髪を撫でれば、ふわりと、華のような微笑が広がる。

僕はその笑顔を、しっかりと腕に抱きとめた。




fin



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