Raindrop
「あの、兄さん、新しい先生が来てるんだけど……」
おかしな執事たちに困惑した顔をしながら、拓斗が言う。
「ああ……もう来ていたのかい? 週末に母さんと一緒に来るっていう話だったけど」
「近くまで来たので、ご挨拶にいらっしゃったそうです」
西坂はそう説明しながら、リビングとは反対側の廊下を進み、客間へと案内してくれた。
新しい先生は、母の昔の友人の娘さんらしい。
音大の3年生で、すでにプロとしても活躍されていると聞く。
カチャリ、と開けられたドアの向こうに、その人はいた。
ソファに座り、暗くなりだした外の景色を見つめていた彼女は、ドアの開く音にこちらを振り返る。
そして僕に気づくとふわりとした微笑を浮かべて立ち上がった。
「初めまして、一番上のお兄さんね? 律花さんの……お母様のご紹介で今度からヴァイオリンを教えることになりました、斎賀水琴です。宜しくお願いしますね」
栗色のゆるく巻かれた髪が、さらりと揺れる。
無地のワンピースに、パステルカラーのカーディガン。
すらりとした立ち姿は、見るからに儚げな、百合の花のような印象だった。
おかしな執事たちに困惑した顔をしながら、拓斗が言う。
「ああ……もう来ていたのかい? 週末に母さんと一緒に来るっていう話だったけど」
「近くまで来たので、ご挨拶にいらっしゃったそうです」
西坂はそう説明しながら、リビングとは反対側の廊下を進み、客間へと案内してくれた。
新しい先生は、母の昔の友人の娘さんらしい。
音大の3年生で、すでにプロとしても活躍されていると聞く。
カチャリ、と開けられたドアの向こうに、その人はいた。
ソファに座り、暗くなりだした外の景色を見つめていた彼女は、ドアの開く音にこちらを振り返る。
そして僕に気づくとふわりとした微笑を浮かべて立ち上がった。
「初めまして、一番上のお兄さんね? 律花さんの……お母様のご紹介で今度からヴァイオリンを教えることになりました、斎賀水琴です。宜しくお願いしますね」
栗色のゆるく巻かれた髪が、さらりと揺れる。
無地のワンピースに、パステルカラーのカーディガン。
すらりとした立ち姿は、見るからに儚げな、百合の花のような印象だった。