Raindrop
それから、学校を休んでいる花音の家庭教師も兼ねて、水琴さんは一日置きに家に通ってくれることになった。
大学生であり、プロとして活躍もしている彼女にそんな暇があるのだろうか……と疑問に思えば。
「私なんてまだまだ駆け出しだもの。それに、前期試験のレポートはもう提出してしまったし。好きな作曲家についてに書け、だったの。楽しかったわ」
にこりと微笑んでそう説明してくれた。
何にせよ、一番良かったのは、花音がすぐに懐いてくれたことだった。
人見知りの激しい妹が、新しい先生に打ち解けられるのか心配だったけれど、水琴さんの柔らかな雰囲気に安心したらしい。
水琴さんの3回目のレッスンの日。
家に帰ると弾むような『花のワルツ』が聞こえてきた。
これは花音のヴァイオリンじゃない。もっと表現が豊かで、音が澄んでいる人の演奏。
伴奏の、少し拙いピアノが花音だ。
玄関で出迎えてくれた西坂に鞄を渡し、レッスン教室にしてある客間の一室へ向かうと、開け放たれたドアの前で制服姿の拓斗が微笑を浮かべながら立っていた。
「拓斗?」
「ああ、お帰り、兄さん」
大学生であり、プロとして活躍もしている彼女にそんな暇があるのだろうか……と疑問に思えば。
「私なんてまだまだ駆け出しだもの。それに、前期試験のレポートはもう提出してしまったし。好きな作曲家についてに書け、だったの。楽しかったわ」
にこりと微笑んでそう説明してくれた。
何にせよ、一番良かったのは、花音がすぐに懐いてくれたことだった。
人見知りの激しい妹が、新しい先生に打ち解けられるのか心配だったけれど、水琴さんの柔らかな雰囲気に安心したらしい。
水琴さんの3回目のレッスンの日。
家に帰ると弾むような『花のワルツ』が聞こえてきた。
これは花音のヴァイオリンじゃない。もっと表現が豊かで、音が澄んでいる人の演奏。
伴奏の、少し拙いピアノが花音だ。
玄関で出迎えてくれた西坂に鞄を渡し、レッスン教室にしてある客間の一室へ向かうと、開け放たれたドアの前で制服姿の拓斗が微笑を浮かべながら立っていた。
「拓斗?」
「ああ、お帰り、兄さん」