Raindrop
「私も、出るの」

弱々しい声ながら、花音はそう答えた。

「あら、そうなんですの。学校も休んでいらっしゃるし、教室もお辞めになってしまって、どうしてしまったのかと心配していましたのよ。貴女がいないと退屈で。ねぇ、みなさん」

周りの取り巻きたちは、口々に同意の声を上げ、嫌な笑みを浮かべている。

花音は浅い呼吸を繰り返しながら、その集団を睨みつけた。

「みんなが、いじわる、するからっ……少しお休みした、だけだもんっ……」

「あら、そんな!」

浅葱莉子は大袈裟とも取れる大きな声を出す。花音の肩が少し震えた。

「私はただ、教えて差し上げただけですわ。貴女のようにご両親のおかげで良い成績を修められている方が、勘違いをしないように」

「そうよ、莉子さんの親切だわ」

「勘違いしたままじゃ、かわいそうですものね」

くすくすくす、と嫌な笑い声が廊下に響く。

花音の横に立つ水琴さんが、ちらりと僕を振り返った。けれど彼女にも、口出ししないようにと、軽く頷いて合図した。

花音は震えている。

それでも、目尻にたまっていく涙を零すまいと、必死になって耐えている。

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