Raindrop
「花音ちゃんの実力が本物かどうかは、聴く人が聴けば分かりますよ。……貴女たちは、どうなのかしら」
僕が発言したことでもういいだろうと判断したのか、水琴さんも助け舟を出してくれた。
「貴女たちの演奏も楽しみにしていますね。私、ホールで聴いていますから」
微笑む水琴さんに、浅葱亜子は何か言いかけて……はっと、気づいたようだ。
彼女はプロの演奏家。
見る人が見れば、誰なのか分かる。
「……参りましょっ、みなさん!」
悔しそうに顔を歪めながら取り巻きを引き連れて去っていく浅葱姉妹に、僕と拓斗は顔を見合わせて微笑み合った。
「知らなかったな、ちゃんと浅葱さん側からの証言もあったんだ」
感心しながらそう言う拓斗に、僕は微笑んだ。
「ないよ」
「……えっ?」
「はったりだよ、全部ね。でも……ああ言われて否定しないということは、自分でも周りの人たちを信用していないんだろう。かわいそうな人だね」
「……な」
「これから修羅場になるかなぁ。疑心暗鬼になっている人に、何を言っても無駄だろうからね。ふふ、楽しそうだ」
拓斗は目をぱちくりさせ、僕を見上げる。
「……兄さんって、怖い」
そう言いながらも笑う拓斗。
「ありがとう」
僕が発言したことでもういいだろうと判断したのか、水琴さんも助け舟を出してくれた。
「貴女たちの演奏も楽しみにしていますね。私、ホールで聴いていますから」
微笑む水琴さんに、浅葱亜子は何か言いかけて……はっと、気づいたようだ。
彼女はプロの演奏家。
見る人が見れば、誰なのか分かる。
「……参りましょっ、みなさん!」
悔しそうに顔を歪めながら取り巻きを引き連れて去っていく浅葱姉妹に、僕と拓斗は顔を見合わせて微笑み合った。
「知らなかったな、ちゃんと浅葱さん側からの証言もあったんだ」
感心しながらそう言う拓斗に、僕は微笑んだ。
「ないよ」
「……えっ?」
「はったりだよ、全部ね。でも……ああ言われて否定しないということは、自分でも周りの人たちを信用していないんだろう。かわいそうな人だね」
「……な」
「これから修羅場になるかなぁ。疑心暗鬼になっている人に、何を言っても無駄だろうからね。ふふ、楽しそうだ」
拓斗は目をぱちくりさせ、僕を見上げる。
「……兄さんって、怖い」
そう言いながらも笑う拓斗。
「ありがとう」