デュッセルドルフの針金師たち前編

プロローグ2

やはり黒川だ。

「若林?あの若林治か?」ということで、
お互い生きてたのかと23年ぶりにその晩
”ファンファン”で再会した。

白髪は増え、年はとりつつも不思議と23年前に
タイムスリップして、しこたま近況を報告しあった後、
黒川は若林に聞いた。

「1970年10月21日の国際反戦デーのあとお前は
行方不明になった。海外に逃避したという噂はあったが、
その数年間、何ヶ国回って一体何をしてたんだよ?

お前の言う第三幕てなんだ?もうこんなに白髪交じりになって、
さあこれからだなんてもう何かむなしく響く」

てなことを言ったので即答できず。

「その件に関しては後日手紙を書くから」

と別れて白樺湖にいる間の一ヶ月、いろいろと思い出して書き始めたら
こんな長文になった。読むほうは大変だろうがこちらはわが青春の
総括ができて大いに感謝している。

持つべきものはやはり親友だ。共にさらに長生きをして頑張ろう。
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