デュッセルドルフの針金師たち前編

チロルの山の中で

仕事仕事さあ仕事探しだ。
おじさんも罰金の元を取り返すと意欲満々。
物価の高いスイスでの仕事探しを決めた。

インスブルックからリヒテンシュタイン、
スイスへの山深い国境地帯、
列車で車を運ぶほどの険しい山なみ。

そんな中でもこの地方にすみつかれた日本人の婦人の方が
車の浮世絵ポップを見つけて、
おにぎりの差し入れがあったりした。

いつのまにかリヒテンシュタインを抜けてスイスに入っていた。
チューリッヒのユースでダボスの教会が人を
探しているという情報を得てダボスへ向かった。

日暮れてダボスに到着。相当の山奥だ。駅の近くで車泊。
朝、目が覚めてびっくり。なんと30センチの積雪でドアが開かない。

ほうほうの態で雪道を抜けて何とか教会にたどり着いたが、
もう仕事のほうは埋まっていた。残念遅かった。
大雪の中をノーマルタイヤでそろりそろりと抜け出した。

幹線道路にでると雪はなく360度アルプスが見える。
すばらしい大自然の中をベルンからジュネーブへと駆け抜ける。
ドイツ語からいつのまにかフランス語になっている。

スイスメイドのハイライト1カートンに1個おまけ付とか。
ユースで名物料理ホンデュとか、ちっとも腹はふとらない。
あちこち当たってはみたが仕事はなかなか見つからない。

本格的な冬が来る前に安くてもインスブルックか
ミュンヘンへ戻ったほうがよさそうだ。よし。
大急ぎでインスブルックへ引き返すことにした。
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