デュッセルドルフの針金師たち前編
ドイツ人のウェイトレスはどことなく投げやりで恐らく20代半ば、
一度だけ「アーレスクラール?」(どう、元気?)と声を
かけたことがあったが、もうストレートにいやな顔をされた。

意味は通じたのだろうが、明らかに東洋人を毛嫌いしている。
同じ東洋人でも中国人と日本人とでは雲泥の差だ。
日本人と分かるととたんに愛想良くなる。

ソニーだホンダだトヨタだと畏敬の念が眼差しにありありと
表れてくる。東西ドイツ合わせても9000万人足らず。
国土も日本並み。人口なら英国も仏国も5000万人くらいだ。

日本は島国だがやはり大国なのだ。ところが中国はでかすぎる。
国土は日本の20倍。人口は10倍以上。ソ連やUSAが人口
2〜3億人で国土は広いが中国には及ばない。

ところが中国人はどこに行ってもチーノチーノとからかわれている。
何故だろう極端だ。

後日エジプトのカイロのバザールを3人で歩いていた時、
だんだんと人垣が増えてきて、最後はチーノチーノといって、

トマトを投げつけられほうほうの態でタクシーにかけ乗り、
逃げて帰った事があった。

誰かがあの時、日本人だと叫んで子どもたちに(大人もずいぶんいた)
それを説明していれば、トマトは投げられなかったと思うが。
子どもたちにはチーノもジャポネも同じ東洋人としか写らない。

一見して分かる差異で差別してくる。
最低限の初等教育は、ほんとにあまねく普遍的に、
最重要課題だと、どこの国に行っても感じた。

文盲、知識率は、開発途上国では80%以上なのだ。
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