デュッセルドルフの針金師たち前編
ユースで後釜を探して金都をやめる準備をする。
有り金をはたいて材料を買い込み、布も買い足して
大きなかばんも買った。連日作りまくる。

次の土曜日また5万円だけ売って店じまい。金都
も円満に退職した。これからはユース泊まりだ。
石松、縁日に混じって金都の夫婦は製作に専念した。

次の土曜日石松と並んででかい布を広げる。もう
本格的だ。怖いのはポリスだけだ。売って売って
売りまくった。と、ポリツァイの叫び声。

なんども練習をしていたのでワンタッチで真っ先に逃
げた。そのままユースへ。なんと12万円の売り上げ。
石松が言う、

「あんたんとこの作品はなかなかのもんや。
あれやったらこれからもよう売れるで」

ユースに泊まり昼間作って、これからは毎晩出すことにした。
12月のことを考えるととても製作が間に合わない。在庫を
相当抱えていないとクリスマス前に売切れてしまいそうだ。

一番売れる時に在庫がないことだけはなんとしても避けたい。
とにかく材料を買い増し買い増しして必死で作り続けた。
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