デュッセルドルフの針金師たち前編

でかいトイレ

ハバロフスク空港からイリュージンのジェット機で一路モスクワへ向かう。
十数時間の空の旅。時差の関係で一日が36時間もある。
沈む太陽をいくら追いかけていっても日は暮れずとても長い空の旅であった。

モスクワではウクライナホテルという市の中心にあるこれまた馬鹿でかいホテルに泊まった。
各階に大きなデスクがあり軍服のような制服を着た大柄なおばさんがでんと座っていた。
最初は怖かったが見かけによらずとても親切で何でも細かく教えてくれた。

我々東洋人は相当若く見えるらしく欧州ではどこの国でも10才くらいは若く見られてしまう。
このモスクワまでが団体のツアーになっていて皆と一緒だ。

我々食卓6人組は夜モスクワの地下鉄にチャレンジした。
何とか一駅無賃乗車をしてホテルに戻るべく地上に出てからが大変。
タクシーを止めても止まらず。

小説家のおじさんが轢かれそうになりながら強引に車を止めて
やっとホテルへ帰れた。ホテルの入り口付近でおまわりさんに
声をかけたらベトナムの子どもたちと間違えられた。

日本を何とか説明しようとしたがどうにも全く通じなかった。
翌日団体で市内観光。明日は鉄道でヘルシンキ組とポーランド組。
空路でのスウェーデン組とに別れてモスクワ出発だ。
インツーリストともお別れでいよいよ一人旅が始まる。

クレムリン、レーニン廟と見てモスクワ大学前で休憩。真っ青な空。
だだっ広いモスクワ。向こうに競馬場が見える”サウンドオブサイレンス”が聞こえてきそうだ。

そこで”ちょっとトイレ!”と言って青タオルとマメタンと落ち研は大走りして
モスクワ大学の構内をめざした。200メートルくらいは走った。

これがまた馬鹿でかいトイレでキリンが立小便をするような大理石男子便器であった。
バスタブ同様でかいだけがとりえのロシアと感じた。
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