冷血ボーイ





もう好きじゃないって、実紅ちゃんは言ってたけど。




昔は玲央くんにそれなりの感情はあったんだよね。




だから…なのかな。




前にいる実紅ちゃんが、小さく震え出した。




「もうひまとも親父とも仲直りしたからいいけど…」




初めて聞く事実に、実紅ちゃんは何か感じてくれたのかな。




反省…少しでもしてくれたのかな。




「ごめ…んなっさ…いっ…そんなこと…なってるの、知らなくて…っ」




この子のことだからまた演技かな、って一瞬思っちゃったけど。




下を向いて、肩を震わせる実紅ちゃんの顔から、涙が落ちていくのが見えた。




「珠蕗、先輩……ごめんなさい…っ」


「ひまわりには…?」


「海野先輩も…本当に…、ごめんなさい…!」




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