冷血ボーイ




「ん」




玲央くんは短い返事を残して、実紅ちゃんに、『また明日な、実紅』と言った。




あー…なんか妬けちゃうな。




少しダルッとしたズボンのポケットに手を突っ込んで歩いていく玲央くんの背中が、いつもより大きく見えて。




やっぱり……玲央くんはあたしよりも大人なのかも、なんて思ったりした。




「ひまわり先輩…」


「ん?」


「先輩は…本当に憧れの先輩です…」




……はやく、仲良くなれそうだね、実紅ちゃん。



あたしはにっこり笑って、『また明日ね』と言って小さく手を振って。




先を歩く玲央くんの元に走った。




< 307 / 312 >

この作品をシェア

pagetop