†黒ウサギの仕事†Ⅱ
「うっ、ひっ…。ひっく…」
雷の泣き声はこの薄暗い部屋にずっと響いていた。
そこへ亞蓮が来た。
亞蓮はこの場の雰囲気を理解できていない様な顔で僕を見た。
「亞蓮、ちょっといい?」
「……はい」
僕は泣き続けている雷を残し、別の部屋へ移動した。
その時の亞蓮の瞳がフッと笑った様に見えたが気のせいだろう。
僕と亞蓮は部屋にある少し古びたソファーへ座った。
「どうかされたんですか?」
「亞蓮が来る前に璢維人と言う情報関係の仕事をしている人がいるって話したよね?」
「はい」
「その璢維人が…。何者かに襲われて亡くなったらしいんだ」
しばらくの沈黙が続いた。
僕は亞蓮の顔を見たが、下を向いていて表情が分からない。