†黒ウサギの仕事†Ⅱ
薄暗く少し湿った空気が流れる。
その部屋に亞蓮の笑い声だけが響き、僕はただ黙っている事しかできなかった。
まるで時が止まってしまったかの様。
「黒ウサギさぁーん?聞いてる?」
「黙れ…」
「まぁそんな怖い顔しないで!すぐに璢維人さん所に行かせてあげますから!」
亞蓮は一体何を考えてるの?
まてよ、璢維人の所にって事……。
僕はその瞬間、亞蓮から離れた。
亞蓮を見ると右手には小型のナイフが握られていた。
「さすが一流の殺し屋。すぐに気付かれちゃった…。でも次は逃がしませんよ?」
そう言った亞蓮の顔はとても楽しそうだった。
そう、例えて言うならば子供が親にプレゼントを貰って嬉しそうにするあの笑顔。
僕は鳥肌が立った。