サヨナラと言いたかった
あの頃の私はまだ幼くて、
好きな人のそばにいることだけが、
私の幸せだと思っていた。


こうちゃんの温かい手。

大きな背中。


やわらかい髪の毛も、

まるっこい爪の形も、

興奮すると裏返ってしまう声も、

全部欲しかった。

こうちゃんの全てを私のものにしたいと本気で願ってしまった。


もしも、あのとき
私たちが結ばれていたら…?

私たちは今、
どんな毎日を過ごしていたんだろう?

幸せになれていたのかな…?

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