サヨナラと言いたかった
ドンドン!
ドンドン!!ドンドン!!


ドアを激しく叩く音。





「ユイ!いるのか!?」


「こうちゃん?!」



ドアを開けると、そこに立っていたのはこうちゃんだった。


「どうしたんだよ。

全然出てこないから中で何かあったんじゃないかって焦ったぞ!」





「…うん、大丈夫。


ちょっと手が離せなくてすぐに出られなかっただけ。
こうちゃんこそ、どうしたの?」


私はまだ恐怖で身体が震えていたけど、できるだけ冷静を装いながらこうちゃんにだずねた。


「部屋の鍵、置いたまま出かけちゃったから…
今日の夜会うときに持ってもらおうと思って電話したんだけど、家の電話がつながらなくて…。」


そう言いながら電話に視線を向けた



こうちゃんの顔色が変わる。



―――見つかってしまった。

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