サヨナラと言いたかった
車を近くの駐車場に停めて、
私たちはそこから歩くことにした。


大きなツリーが飾られている金森倉庫は函館の観光名所ではあるけど、
さすがに夜10時を過ぎると人通りは少なかった。


「女二人で、クリスマスツリー観るなんてねぇ。」


みちるが苦笑いしながら言った。


確かに近くを歩いているのは、恋人同士や夫婦ばかり。
そんな中で、女同士二人で腕を組んで歩く私たちはかなり目立っていた。



でも、なんだか少し新鮮な気持ちになった。


そう言えば、こうちゃんと付き合い始めてから2年半、友達と出かけることなんてほとんどなかった。


いつでも、こうちゃんと二人。


朝目覚めてから、夜眠りにつくまで、
こうちゃんは、私の生活のすべてだった。


そんな、こうちゃんを失ってしまった今、
私はほんとに一人ぼっちなんだ。




寂しいよ―――

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