サヨナラと言いたかった
「今ユイが彼とずっと一緒にいたいって心から願っているように、

たぶん、奥さんも彼を自分の元につなぎとめようと
必死に努力してるんだと思う。


奥さんには、大切な子どもがいるんだもん。


息子を守るために、もしかしたらユイよりもずっとずっと強く彼のことを必要としているのかもしれないんだよ。」

私は胸の奥をぎゅっとつかまれたような気持ちになって、こぶしを強く握りしめて下を向いた。


そんな私を励ますように、みちるはこう続けた。


「ユイは彼と離れなくちゃいけない結果になって辛い想いをしたかもしれない。

だけど、きちんと関係を終わらせたら、また新しくスタートできるじゃない?


でもね、これから本当に悲惨なのは彼と彼の奥さんだよ…。


お互いに傷を負ったまま、一緒に生活をしていかなきゃいけない。


終わりにすることよりも、続けていく方がずっとずっと大変なことだと思うな…。」

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