悪魔狩り屋と優しい悪魔
―昼休み
「眠っ…!」
鉛色の空の下、私は屋上に寝転んだ。
安久李さん(機嫌が治ったのでそう呼びましょう)は脳しんとうを起こしたけれど、結局昼休み前に復活していた。人間とは思えないぐらいの回復力だと褒めたくはないけど褒めてしまうぐらいだ。
昨日の一件の所為ですっごく眠たい。悪魔狩りがある時は大体3時間は寝るのに、昨日は30分も眠れなかった。
おかげですっごく眠たい。多分目を閉じたらすぐに寝てしまいそうなぐらいだ。
私は空を見つめたまま、昨日の事(キスの事以外)を考えた。
何故あの悪魔は逃げたのだろうか?
私は今まで戦った悪魔達の事を思い出しながら考えた。
悪魔は人に害をなし、時には人を食らう者。聖書などでよく登場する者で古来より人間に降りかかる災いは悪魔の仕業と考えられていた。
彼らの性格は極めて残酷な者が多く、人を食料と考えている。
これらの事を考えると、悪魔が逃げることはかなり考えにくい。
しかし、悪魔は逃げたのだ。恐れをなしたように、安久李さんの前から。
何故なんだ…?私は鉛色の空を睨むように見ながら、ひたすら考えた。