悪魔狩り屋と優しい悪魔

私は急いで呪文を詠唱すると、今いる部屋に結界を張った。

「これで…少しは時間を稼げる…」

私は神器などを拾わずひび割れた壁に凭れ、座り込むと小さく息を吐いた。

悪魔に切られた傷が疼く。あいつ…剣に自分の血を…

悪魔の血肉は人間にとって毒だ。

私たち悪魔狩り屋は普通の人間と違う特殊な遺伝子を持っているため、悪魔の血肉には強いが、まったく効かない訳ではない。

早く終わらせて処置をしないと毒で死んでしまう。

「片付けるか…」

私は呟きながら立ち上がった。瞬間、

「酷い格好だね、凛童ちゃん」

部屋の奥から聞き覚えのある声が聞こえた。


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