悪魔狩り屋と優しい悪魔
「…ざけんなよ」
ようやく絞り出された声は、自分の声とは思えないほど低かった。
サタンは不気味な笑みを浮かべたまま、私を見下ろしている。
「ふざけるな!!!!!!!!!なにが花嫁だ!!!!!!!!!お前らは人間を食料としてしか思ってない!!!!!!!!!そんな奴の花嫁など言語両断だ!!!!!!!!!ましてや、お前は10年前!!私たち悪魔狩り屋を殲滅しようとした、一族の敵だ!!!!!!!!!!!誰が好き好んで花嫁になどなるか!!!!!!!!!」
私が言い終わると同時に、辺りに静寂が広がる。聞こえるのは、私の荒くなった息だけだった。
『…くっ…あはははははははははははは!!!!!!!!!最ッ高だよ!!!!!!!!!悪魔狩り屋!!!!!!!!!いや…』
唐突に、サタンが笑い始めた。美しい容姿からか、その笑みは妖艶だが私にとってそれはただ、憎しみの対象でしかない。
そんな奴が、急に真顔になり言葉を紡ぐ。
『凛童綾芽…』
瞬間、背筋が凍った。しまったと思ったときには時既に遅し、私は声も出ないし指一本動かすことも出来なかった。