悪魔狩り屋と優しい悪魔
なぜ私は路地裏に倒れていたのだろう?
何かがあったのは直感でわかった。しかし、それが一体なんだったのか。何かとても重大な事があったのだ。
それこそ、自分の運命をねじ曲げてしまえるほどの大切なことがー
「ストップ」
安久李さんが、私の腕をつかんだ。
すると、耳をつんざくエンジン音を出しながら1台のバイクが私の目の前を横切った。
考え込みすぎて目の前を見ていなかったのだ。
「…………………」
「助けられたときに言う言葉は?」
飼い猫を躾るような口調で、安久李さんが私に聞いた。私はお前の飼い猫かと言いたかったが、口をつぐんだ。
「…ありがとう」
「どうしたしまして」
安久李さんは静かに微笑み、掴んでいた手を離した