悪魔狩り屋と優しい悪魔
「…そっか。ごめんね?変なこと聞いて」
琴乃は微笑みながら言った。その微笑みを見てズキン、と胸が痛んだ。
巻き込みたくない―そんなことは私のエゴだ。悪魔狩り屋のことを知って、琴乃がどんなふうに思うのか知りたくなかった。今まで隠してたことを、命を落とすかもしれないことを、周りの大切な人々を失いたくないだけだ。
だから、私は隠した。
伝えることも無く、琴乃に何も教えなかった。
「綾芽、そろそろ予鈴なっちゃうよ。いこっ」
琴乃が笑顔で私の手を掴み、歩き出した。ゆっくりとは言えないが歩きやすいペースで歩く琴乃の背中は、とても小さくて―でも、ぴんっと背筋が伸びていてかっこよかった。
ごめんね、琴乃。まだ言えない。私がもっと強くなったら伝えるから―