悪魔狩り屋と優しい悪魔


ー目の前に、真っ赤な花が咲いた。これは誰の血だろう。何故か、胸が熱い。ああ…そうか

目の前に少女の姿の悪魔が凄惨な笑みを浮かべている。
そうか…外したんだーいや、防がれたのだ。悪魔が持っていたはずの斧が、割れている。悪魔は斧の刃で弾を防いだのだ。

「…ぎひっ…ひひひ…」

悪魔が笑う。私は死ぬのか、私は感覚のない腕を動かし神器をとろうとする。瞬間、悪魔に手を踏まれた。鈍い痛みが走る。最期の抵抗さえ、防がれた。

終わった、私はそう悟った。悪魔が私の首をつかむ。じわじわと呼吸ができなくなり視界が暗くなる。胸が締め付けられるような感覚が広がる。

視界が完全に暗くなる前、視界の隅に人影が入ったような気がした。


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