悪魔狩り屋と優しい悪魔
目の前で何が起きたのか、俺には理解できなかった。
目の前を走っていたやえがいない。やえの代わりにいるのは、真っ赤に燃える小さな体ー
「………………や…………え…………?」
真っ赤に燃える炎のなかで、小さな体が俺の方を向く。愛らしい顔が炎に包まれ、それには不釣り合いな涙が頬だった場所を伝う。
「おにぃ……熱いよ……」
最後にそれだけを残し、小さな体は地面に倒れた。瞬間、俺はそれが、目の前で焼けた小さな少女が、やえだったことに気づいた。
やえの上に、焼け落ちた家の瓦礫が落ちていく。
がらがら、めらめら、真っ赤な炎をあげながら、それは大きな火柱を空へ向けて、高く、高く、伸ばしていた。