悪魔狩り屋と優しい悪魔
召集令状が届いてから、しばらくたったある日ー
俺は南国の草木が鬱蒼と生い茂る、とある島に来ていた。自分の身の丈に合わない、重い武器を抱き抱え、走り続けていた。
俺の目線の先には、美しい黒髪の女が、子供を抱き締めながら逃げていた。
俺は静かに抱き抱えていた武器をー銃を構えた。
逃がしてはいけない。国のため、彼女は敵国に知らせるだろう。逃がしてはいけない、これ以上国民を殺したくない。
逃がしてはいけない、これ以上、やえのような子を出さないために。
俺はゆっくりと女に銃を向け、静かに引き金を引いた。
乾いた破裂音が、耳に響き渡る。
この音は、俺の脳内に刻まれーいつまでも、癒えぬ傷となって俺を襲った。