先生 〜柚子side〜
「何なのよ一体!!」
連れてこられた階段。
そりゃ、キレますとも!
意味分からなすぎでしょ?!
「おかえし」
「はぁ?」
「蹴りの仕返し。お前、今日なんか変だし……」
そう言いながら、そっぽ向く聡史。
まぁ、変なのは自覚あるけどさ。
それにしても、その仕返しにコレって……。
男子の考える事は分からないや。
私のドキドキ分、返して欲しいよ。
「もう、いいよ。帰ろう」
「えっ、もう帰るの?!」
「だって、買うもの買ったし……他に用事ないでしょ?」
そう言った私に、不服気な聡史。
「バイトまで時間あるんだけど……」
ボソッと言った聡史が可愛くて、ふきだしてしまう。
「プッ…あははは!!」
「何だよ!!」
さっきは平気であんな事しといて、急に真っ赤になってるし!!
「はっきり言ったらいいのに〜!一緒に時間潰そうって」
「はぁ?そんなんじゃねーし!!」
意外と可愛いとこがあるんだね。
ふてくされて階段を降りる聡史の腕を、グイッと捕まえて腕を組む。
「じゃあ、どこ行く??」
形成逆転。
さっきの仕返し。
「もう、いいよ!!」
「映画見る?それとも、甘いもの食べる?」
そう言った瞬間、ピタッと止まって私の顔を見つめた。