先生 〜柚子side〜
はぁ〜〜〜。
もう、分かりやすすぎでしょ。
聡史のシャツをクイッと引っ張ると、手招きした。
「茉莉さん…だっけ?……好きなんでしょ?」
耳元で小声で聞いたのに
「うはぁ?えっ、なっ!!……うるせー」
なんて、言葉にならない言葉を発したまま、口元を押さえて真っ赤になってる。
なにそれ。
こんな聡史見たことない。
ズキッと心で何かが引っかかった。
なにこの感情。
「今度、相談にのったげるよ」
そう言って、大きめにアイスをすくって口に入れた。
さっきの感情は、無かった事にしよう。
目を見開いて私を見ると、プイと顔を背け厨房に入って行った。
後ろでは、そんな聡史のファンのお客さんなのか、キャーキャー騒いでいた。
あー、来なきゃ良かった。
最後の1すくいを口に入れると、お会計を済ませた。
聡史が奢るって言ってくれてたけど、なんかそんな気分じゃなくて……。
最後に、お会計をしてくれた店員さんに
「聡史君にお礼を伝えておいて下さい」
と言って出てきてしまった。
「呼びましょうか?」
って聞いてくれたけど、何だか早く1人になりたくて、
「いいです!ありがとうございます」
なんて、可愛げなくお店をでる。
こういう時の女子って、なんて言うんだろう……なんて思いながら。