先生 〜柚子side〜
次の日、教室に入ると円形に囲まれてる一角が有った。
その中に居る人は私を見つけると、その輪の中からツカツカと一直線に私の元にくる。
な……なによ?!
鞄をおいた私の腕をつかむと、ぐいぐいと引っ張って行った。
「ちょっ……!!!なんなのよ、いきなり」
振り払おうにも、男の力にかなうはずも無く……。
ってか、皆が私たちを興味津々な感じで見てるから恥ずかしいんですけど。
「逃げないから離してよ!!聞いてんの、聡史?」
階段まで来た私を、スッと離すと
「……なんで帰った?」
「えっ?」
言ってる意味が分からなくて、言葉に詰まってしまう。
「奢るて言ったじゃん。ってか、一言言って帰れよ」
「……ごめん、忙しそうだったから……それだけ?」
「……」
ちょっと、人を引っ張ってここまでつれてきといて、それだけとか意味分かんない!!
「用がないんなら戻るから」
そう言って、手をヒラヒラをさせながらクルッと教室の方を向き直した。
「……明日…時間ある?」
背中越しにも緊張したのが分かる聡史の声。
歩みを止めて振り返ると、真剣なまなざしで真っすぐに私を見ていた。