Forget me not~勿忘草~
沖田さんの気持ちが、とってもよくわかった気がした。




―私だってイヤだ。



命令されたって好きでもない人とそんなこと…



絶対イヤ!!





私は、沖田さんの湯呑みをひったくると一気に飲み干した。




「…うぇ…っ」




初めて飲んだ液体は喉を焼いてカァッと身体を熱くする。



クラ~ッと目が回りそうになってくる。





「な…ど、どうしたんです、急にっ」




びっくりして目を見開く沖田さんの目を



ジィッと見つめる…というか見つめてしまっていた。




膝を乗り出してグッと沖田さんに顔を近づける。




「沖田さんの、言うとおりれす…」




「好きれもない人と、そんなこと、しちゃらめれす」




「絶対、らめ…!」




真剣に、伝えているつもりだった。



沖田さんに、そんな気の進まないことをして欲しくなかった。




なのに、沖田さんは返事もしてくれない。



固まったまま、目を見開いて私を見ていて…




「わかったんれすか!」



そういうとビクッと身体を震わせて沖田さんがコクコクと頷く。




「わ、わかりました」





「うん、ならいいです、いい子いい子」




わぁ~、沖田さんの髪の毛って柔らか~い♪




素直に頷いて返事ををする沖田さんが可愛くって



つい頭を撫でてみた。




ふふっ、なんだか楽しくなってきちゃったな…





「◯◯さん、もしかしてお酒は初めてですか…?」




おとなしく頭を撫でられながら、沖田さんが言う。




「そうれすよ、まだ未成年だもん」




「…みせいねん?」




「えっとぉ、20才になってないってことれす」




沖田さんは小首をかしげながら質問してくる。



「20才にならないと、酒は飲めないのですか?」




ん~、そっか。



今は何歳から飲んでいいのかな…16? 18?



わかんないけどもうお酒を飲んでてもおかしくない年かもな~




「そうれす~、未来では捕まっちゃうんれす。…ヒック」




「み、未来?」


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