Ghost of lost
 リサは部屋の片隅で膝を抱えている。憂いを漂わせている表情は変わらず、視線もどこか遠いところに向いている。
 こんなに沈んでいる彼女をみるのは初めてだった。声をかけようにもかけられない雰囲気だった。
 沈黙が部屋を包んでいく。
 遠くから電車の走る音が聞こえてくる。
 リサと出会ってから、こんなに静かな時を迎えるのは初めてのような気がした。
 勇作はまだ新しそうなリサの制服を見つめていた。生きていた頃、何事もなければこの制服を着て普通の高校生活を送っていたのだろう。
 何がリサを死に至らしめたのだろう。
 もしもリサの死因が自殺だったとしたら何が彼女をそこまで追いつめたのだろう。
 膝を抱えて俯いている姿を見ているとリサの抱えている闇の一部をみているような気がした。
 ふいにリサの視線があがる。
 勇作のそれと重なり合う。
 リサが近づいてきて、勇作の胸に顔を埋める。勇作はとまどいながらも彼女の肩を抱いてやる。
「暫くこのままでいて…」
 リサの声がか細く消えていく…。
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