悪魔なふたり
Happy


どれだけの間、そうしていたのだろう。


「……足、もう大丈夫?」


やがて彼は言い、着ていた上着を掛けてくれた。


「・・・もう、大丈夫」


聞こえるか否かの声で言うと、よしよし、と頭を撫でられる。


「・・・寒くなってきたね・・・」


私に上着を掛けたので、その人は薄着になってしまった。


「あ、あの、これ……」


おずおずと彼が掛けてくれた上着を差し出すと、彼は、ははっ、と夏の風のように爽やかに笑い、


「君が風邪を引くよりマシさ」


差し出した上着を受け取って、私に着させてくれた。


「……ありがとう……」


幼い私は、少し無粋な気持ちになり、それでも、彼が私を思いやってくれたことをうれしく思った。


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