悪魔なふたり
forever
「覚えてる? 昔、指切りしたこと・・・」
忘れている訳がない、そう言おうとしたが、涙が溢れ上手く言葉が出ない。
「……ボクは、君との約束を果たす為に、あの会社にいたんだ」
あのあと引っ越してしまって遠くへいたこと。私をずっと探していたこと。そんな中、私によく似た人を見つけたこと……
「あれからすごい時間が経つけど、片時も君を忘れたことはなかった」
彼は私に近付き、頬に軽く触れた。
「……あの会社で、君の助手を探していると知った時は『チャンスだ』と思ったよ」
頬に触れた手を次は頭に滑らせながら、彼は言う。
「ずっと、ずっと、…………会いたかった」
その手つきに目を奪われていた私は、唇に、なにか柔らかいものが当たるのを遠くに感じた。
「ん・・・」
彼は私の唇に自分の唇を重ね、暫くして口を離した。
「……き、す・・・?」
不意に唇を塞がれ、ぼっとしていた頭がようやく何をされたかを把握する。
「……約束を、果たしに来たよ……」
少し肌寒くなった風が、私達を包んだ。