悪魔なふたり
smile
あの日も、雲一つない青空だった。
「もう、待ってよーっ!!」
私はいつもと同じように、あの人を追い掛けていた。
「ははっ、遅い遅い! そんなんじゃあ、かけっこで一番になれないぞ!!」
あの人は足が速くて、どんどん距離が空いてしまう。
「待ってーっ!!!」
幼い私は、あの人から離れないように走るのが精一杯で
「あっ・・・」
夢中になって走っていたせいか、転んでしまった。
「あぅぅ……」
心配そうな顔で今にも泣き出しそうな私に近づいたあの人は、私よりずっと大きな手で優しく撫でてくれた。
「悪い悪い、……あまり意地悪し過ぎたね」
よしよし、ポンポンと頭を撫でられようやく泣き止んだ。
「……ねぇ、あの丘まで行かない?」
泣き止んで落ち着いた頃、とつとつと私は問い掛けた。
「いいよ。・・・今度は転ばないように手を繋ごうか」
その人は撫でてくれた時と同じように優しく手を繋いで、私の歩幅に合わせて歩いてくれた。