悪魔なふたり
「いいところでしょ?」
ふふっ、含み笑いで言った彼は、あの人のことを思い出させた。
「此処・・・」
私の勘違いであって欲しい、切なる願いで私は
「……小さい頃、来たことある……」
−ピーーー・・・−
小鳥の囀ずりが響く中、私は走っていた。
「待ってーっ」
あの頃のように、彼に向かって真っ直ぐ。
「遅いよー、速く速くーっ」
彼は、あの人は昔のようにとは行かないけど、でも、相変わらず足が速く、私を置いていってしまう。
「あっ」
置いていって欲しくなくて、態と昔のように転んでみた。
「・・・もう、相変わらずなんだから」
呆れたように言いつつ、その人は私を心配そうに見詰めてくれる。
「あの頃みたいに、丘まで行こうか?」
昔を懐かしむような、今を愛おしむような口調で言われ、私は頷いた。