キス魔なあいつ





「ねぇ、陽菜ちゃ~ん?」

「……なによ」


あたしも悠も大好きなハンバーグを。

嬉しそうに頬張りながら。

悠は上目遣いであたしを見ている。


……何か頼む時の、悠の癖だ。


「お風呂入ってっていい?」

「どうぞ?」


あたしは素っ気なく返事をした。
なぜなら、まだ食事の準備を手伝ってくれなかったことを根に持ってるからだ。


「泊まってってもいい?」

「どうぞ?」


あたしはハンバーグを食べながら、悠に向かって答えた。


別にいつものことだ。
つい一昨日だって、泊まっていったくせに。

なぜ、悠が顔を赤く染める必要が……。





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