キス魔なあいつ



「あれは…、」

言いよどんでしまうあたしに、悠はズイッと顔を近づけ、問う。


「言えないの?」

「いや、あの……。
その、…悠のことを、悪く言われたのが、…許せなかった…から…」

ムカついて、こうカッとなって…。
一番の理由はやっぱりこれだ。



「あー、可愛いな。」

「へ? わっ!」


あぁ、また悠の腕に捕まってしまった…。

しかも今度はベッドの上で。



「可愛いけど、もう絶対だめ。
俺のためでも、絶対だめ。

陽菜が俺以外とキスしてて、しかも陽菜からキスしてて…。
俺、死ぬかと思ったし。」

「しないよ、絶対。
……あたしね、あれで悠以外とはキス出来ないって思い知らされたし。」





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