キス魔なあいつ
「なによ?」
煮え切らない悠が、少し可愛く見える。
だけど、
「もういいよ、陽菜には分からないんだよーだっ!」
次の瞬間には、やっぱりあたしをバカにしたように笑う、いつもの悠だった。
こんにゃろ、つまんない。
ちょっと膨れっ面なあたしに、ますます悠は笑うし。
「絶対、一緒に寝ないから!!」
ムカッてきたから、あたしはそんな悠に叫んで。
ご飯をかきこんだ。
「“高2にもなったから一緒に…”。 なんだけどね?」
なんて、子ライオンではない、悠の目がちゃんと百獣の王のように光っていたのを、あたしは知らなかったけど―――。