キス魔なあいつ
「ただの“幼なじみ”は、キスなんてしませーんっ」
「…………」
恋愛系の話に疎かったこの子まで、こういうこと言うようになってしまったのか…。
絶対にあの彼氏のせいだ、と思いながらも、口をつぐむ。
言い返した後が、百花は本気で怖いから。
そんなあたしの本音を、本人は露知らず。
百花はずっと可愛い笑顔を浮かべている。
「悠くん、モテモテだよね。」
「そうね、知ってる?
あいつが初めて覚えた言葉、
『ちゅーしよ?』なのよ。」
「あははっ!
そんなの、この学校では、陽菜ちゃんしか知らないよ~」
まぁ、そりゃそうでしょうね。