キス魔なあいつ
溜め息を吐いたあたしを、百花はクスクス、いたずらっ子のように笑った。
「そのキス魔の悠くんは、告白された時に、必ず言うことがあるんだって」
「へぇー」
あたしはお弁当の最後の一口を口に入れた。
「『好きな人がいるんだ。それでもいいの?』」
「ゴホッ、ゴホッ!」
「ちょっと陽菜ちゃん!大丈夫っ!?」
「ゴホッ…ぅ、うん。ごめん」
あー、あたしらしからぬ動揺だったわ。
まさか悠に、好きな人がいたなんて…。
「びっくりしたでしょっ?」
「まぁ」
でも、もう高校2年生なんだから、いないほうがおかしいか。