キス魔なあいつ
悠の親も、あたしの親も共働きで。
帰りの遅い親たちに代わって、小さい頃から、あたしはよく悠の食事の世話をしていた。
それは未だに変わらず、毎晩のように悠は家でご飯を食べていく。
あたしも、独りで食べるよりは良いかな、と思ってたりする。
……絶対、悠には言わないが。
「ねぇ、いいでしょ~?」
「ダメに決まってるでしょ!?」
今だって、キッチンに立って野菜を切っていたあたし。
そこにニコニコ笑顔でやって来たから、珍しく手伝ってくれるのかと思ったら……。