キス魔なあいつ




送信完了の画面を見てから、携帯を閉じて、バックに手をかけた。



今日は和食にしよう。
ジャガイモでも買ってきて、肉じゃがが食べたいかも。

なんて、思いを馳せてながら、廊下を歩いていたあたしは。


「ちょっと、いいですか?」



突然、後ろから声をかけられた。

振り返ると、見たことがあるような、ないような。

ちょっとひ弱そうな。

そんな男子が立っていた。


これはもしかしたら、“めんどくさい”…。


はぁー、と小さく聞こえないようにため息を吐いてから。

「何かご用でしょーか」


少し棘のあるあたしの物言いにも、その人は笑顔を見せた。




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