キス魔なあいつ
好きな人がいないあたしですら、こんなにイヤな気分になるのだ。
それを毎日のように受け入れていて、しかも好きな人がいるという悠は。
一体、何を思っているのだろうか?
悠をもっと知りたくてしたのに。
悠がもっと分からなくなってしまった。
「…あぁ~、もう…。」
買い物は諦めた。
だって、自分で買い物かごを持つのは面倒だし。
仕方がない、また明日にしよう。
悠に荷物持ちをさせよう。
今日、あたしを置いて帰ってしまった罰として。
そんなことを考えながら、あたしは胸につっかえる、昼間のような渦に飲み込まれないように必死に帰った。