キス魔なあいつ
「…そっか…、…そろそろ終わり、かな…」
起き上がりながら、そう呟いた悠の声は、いつもより低くて悲しさで溢れていた。
「…陽菜?」
そんな声で呼ばれたら、せっかく下げた顔も、上げない訳にはいかない。
結局は、悠には逆らえない。
悠が何のためにあたしを呼ぶかなんて、分かってる。
分かってて、あたしは悠を見上げるのだ。
いや、分かっているから、あたしは悠を見上げたのだ。
だって。
あたしは、きっと望んでいるのだ。
そう。
悠に、キスされることを。