キス魔なあいつ
何で、あたしがそんなの望んでいるのだろうか。
いつだって、あたしにくっついて来たのは悠の方だ。
なのに、何であたしが?
そんなことを思いながらも、絡み、近づく悠との目線は、もう既に逸らせなくなっている。
いつものように、長い睫毛。
すべすべの肌。
軽く右に傾けられた顔。
少し感じる息。
でも、そんな近くに顔があるのに、お互い、目を瞑らない。
いつもと、違う。
悠の瞳には、泣きそうな顔をしたあたしが映っているのまで見える。
ゆっくり、ゆっくりと距離が縮まる。